2012/12/20　神戸こくさいホール BLUEツアーが全国で展開されている中、原点回帰をテーマに掲げられたのが今回のMY KEYS 2012である。 原点回帰というのはこれまでもアルバムやライブで掲げられていたテーマではあるが、そういったものに限って原点回帰を感じられなかったというのが現状である。 しかし、今回はアンジーのファーストアルバム『Home』の収録曲を全曲演奏とあり、今度こそ本当の原点回帰を存分に感じられそうだ。 ただ心配なことが一つだけあった。それは何かというと、今回のライブはピアノ弾き語りオンリーなのではないか、ということ。 元々MY KEYSと名のつくライブはバンドなしのピアノ弾き語りオンリーというスタイルが基本だった。しかし、個人的にはバンドのいるライブに比べると劣る部分が多いと感じるし、ピアノだけだとアレンジの幅に限界がある分曲によっては飽きを感じることもあった。そのため、バンドのいるライブを心の底から望んでいたわけだが、会場に入ってみるとちゃんとバンドのセットが組まれていたので、とっても安心しました（笑） それと今回はBLUEツアーのときにはいなかったギターの西川氏もちゃんと参加している。 その西川氏のギターがとにかくすごくて、アンジーのボーカルよりもそっちに感動する場面が多々あったというのは秘密だ（笑） ライブの始まりといえば会場が暗転することが多いが、今回は先にステージのほうがライティングされ、それから会場の照明が徐々に小さくなっていく。 この日のライブは珍しく軽快なメロディーと手拍子に包まれながらの演奏者登場となった。 そしてついにステージに照明が灯り、アンジーたちの楽器演奏が始まる。 1曲目は久しぶりの『On&On』、サビからのスタートだ。 やっぱりこの曲はバンドでロックに演奏するのが一番しっくり来る。 1曲目が終わって最初のMC。 アルバムの曲順は、映画のストーリー展開をイメージして決めているというアンジー。今夜は1stアルバムの収録曲をアルバムそのままの曲順でお届けするそうだ。 バック演奏は西川氏、村石氏、沖山氏、河野氏と、いつものアンジーファミリーが担当する。 2曲目、アルバムそのままの曲順ということは、俺の一番好きな曲がもうここで披露されてしまう。 そう、『Kiss Me Good-Bye』だ。序盤ということもあり声の調子はイマイチだったが、Oneツアー以来約6年ぶりにフルサイズでの演奏となった。それだけでも今日のライブの価値は跳ね上がる。 3曲目は『Love Is Over Now』。 立て続けの失恋ソングで、まるで最初からクライマックスを観ているような気分になる。 この曲ではバック演奏の4人全員がコーラスに入り（たぶん）、かなり綺麗なハモりを聴かせてくれた。 4曲目は少しロックにアレンジされた『心の戦士』。 中盤の間奏部ではCDにはなかった西川氏のギターソロが組み込まれ、かなりかっこよく仕上がっている。 5曲目は往年の人気ソング『MUSIC』。 この曲ではエレキギターを握って歌うアンジー。HOME SWEETのときにはどうしても劣ってしまうけど、決して陳腐には感じられない迫力あるパフォーマンスだった。 ここでMC。過去の恋愛について語る。 アンジーにとって一番心の残っている恋愛は、前の夫とのことだそうな。周りに絶対やめておいたほうがいいと止められながらも、それを押し切って結婚し、破局を迎えたときには別れの辛さとともに周囲の人間の「ほれ見たことか」という視線を痛いほど感じたという。 そしてもう二度と恋愛をするかと頑なに思っていたのたが、徐々に失恋の傷も癒えていき、もう一度踏み出してみようと思える日が来たという。 そんな気持ちを歌ったのが6曲目の『This Love』だ。 Aメロはガス欠になったのかかなり不安定だったけど、サビでは力強い歌声を聴かせてくれた。 7曲目『お願い』に続き、8曲目は『宇宙』。 寓話の世界観を引き出すにはやはり西川氏のギターが重要だと改めて実感する。 ここでアンジーは一旦退場し、残るバンドメンバーで演奏を始める。 演奏されたのはFF8の主題歌でもある『Eyes On Me』だった。アンジーのボーカル付きで聴きたくもあったけど、西川氏のギターが素晴らしすぎて感動のあまり思わず涙しそうになった。 ここでアンジー再登場。鮮やかな赤色のドレスと、かなり思い切った衣装にチェンジしたようだ。 MCでは、デビューしたての頃のおみくじの話をする。なんとそこでアンジーは大吉を引いたのだが、いっしょに引いたマネジャーのほうは大凶を当ててしまったらしい。嬉しいのやらそうじゃないのやらよくわからん結果ですな（笑） 10曲目はインディーズのアルバムONEから『Warning』。 11曲目はバンドメンバーを再び引き入れての『Rain』。 CDバージョンとはまったくアレンジの違う、ホップなRainだった。 12曲目は懐かしの『奇跡』。 アンジーとベースのおっきーの二人だけという非常に珍しいスタイルでの演奏だ。 続く13曲目の『大袈裟に愛してる』も村石氏との演奏と、コンビでの演奏が続く。 ここでMC。 アンジーの作るラブソングは決して恋愛を歌ったものだけでなく、たとえば家族に対する愛情だとか、そういうものもあるという話……だったと思う（うろ覚えですんません） 14曲目『ハレルヤ』は、アコギを抱えての演奏。 この日はどの曲もコーラスが抜群に生きていたのだが、その中でもこの曲が1番よかったと言ってもいいだろう。 15曲目は彼女のデビュー曲である『HOME』。 この曲に限ってはピアノオンリーのほうがしっくり来るのだが、滅多に聴けないバンドバージョンもまた違ったよさがあった。 16曲目は『Your Love Song』。 2番からバック演奏が入り、幻想的な雰囲気を漂わせる仕上がりになっていた。 ここでMC。 MY KEYSと名のついたライブでは毎回新曲を披露していたという話。そして今回も新曲を作って来たという。 曲目は『Take My Hand』。 二人の手を重ねれば翼になり、どこへでも飛んで行けるというニュアンスの曲だ。メロディーに関して微妙な部分はあるものの、決して悪くない曲だった。 本編ラストを飾る『たしかに』はスルーさせていただき（笑）、ここでアンジーたちは一旦退場する。 アンジー一人が再登場し、いつものグッズ紹介をやってからの19曲目は『友のしるし』。 個人的には微妙な選曲だ。特に思い入れもないし、去年のファンクラブツアーで聴いてることだし……。 そしていよいよ今日最後の曲となる。 出来レースだったけど、最後を飾るにふさわしいのはやはり『サクラ色』だろう。 ただ最近ライブの最後といえば『This Love』か『サクラ色』の二択ばかりなので、たまにはその辺りを弄ってほしいものだ（たとえばダリアを持ってくるとか・笑）。 ■総評 いつもよりもMCが少なく、曲をじっくりと聴かせてくれたので非常に満足のいくライブだった。満足のいくライブといえば『HOME SWEET HOME』というなかなか高いハードルがあったのだが、今回のライブはそれを超えたと言っても過言ではないだろう。 アレンジも新鮮なものばかりが多く、アルバムの曲順どおりでも決して飽きさせないパフォーマンスだった。 それと冒頭でも述べたように、西川氏のギターがかなりよかった。BLUEツアーに彼が参加していないことが非常に残念だと改めて思ってしまう。 ■セットリスト 01. On & On 02. Kiss Me Good-Bye 03. Love Is Over Now 04. 心の戦士 05. MUSIC 06. This Love 07. お願い 08. 宇宙 09. Eyes On Me（バンド演奏のみ） 10. Warning 11. Rain 12. 奇跡 13. 大袈裟に「愛してる」 14. ハレルヤ 15. HOME 16. Your Love Song 17. Take My Hand（新曲） 18. たしかに アンコール 19. 友のしるし 20. サクラ色