2010.12.26　日本武道館 デビュー五周年を記念して行われてきた数々の企画も、 今回の武道館公演をもっていよいよ締めくくりとなる。 その武道館公演だが、締めくくりにふさわしい素晴らしいライブだった。 大阪城公演では音響の悪さに少し残念な気持ちが残ってしまったものの、 武道館はそのあたりがばっちりで、アンジェラ本人もいつになく気合いが入っていた ように感じた。 尚、セットリストは大阪城ホールとほとんど変わらないので、 こちらのレビューはあっさり目で行きます。 まずは立ち上がりの『心の戦士』『Again』の二曲。 大阪城ではコーラスの山根さんの声が、アンジェラと被ると判別し辛かったのが、 こちらでは割と聴きやすかった。にしても山根さん、一曲目からノリノリっすな（笑） 最初のMCは城ホールレビューのとおり、いつもの「席は遠くても心の距離は一緒」 だのという聞き飽きた台詞はなかった。よく喋るということには少し触れていたけどね（笑） でも今回のHome Seet Homeのライブでは、メタリカのくだり以外さほど 喋らなかったと思う。まあ、それが本来ライブと言われるものの形だろうけど（笑） そう感じた最もたる要因はやっぱりしゃべらナイトがなかったことだろう。 MC明けて『Kiss Me Good-Bye』『愛の季節』『孤独のカケラ』とバラードが三曲続き、 このライブの目玉の一つである『Music』が場内を盛り上げる。 城ホールのときはやらなかったのか、それとも俺が覚えてなかっただけなのか知らないが、 今回のMusicは間奏に入るとキーボードの河野さんがアンジーと同じピアノに着いて 連弾を披露してくれた。 そのままアンジーはピアノを河野さんの任せ、ハンドマイクで最後のサビを歌う。 締めの“Can you hear the music？”は山根さんとの掛け合いで、 これが二人して素晴らしい声を披露してくれた。 ここで少し長いMCが入る。城ホールのレビューでメタリカのことは書いたので、 こちらではその前に話したことに触れておこう。 メタリカの前に話したのは、夫婦やカップルはお互い違う趣味を持っているほうが 上手くいくのか、そうではないのかということだった。 アンジーは、趣味は違ったほうが上手くいくと自信たっぷりに断言。 でも姐さん、あなたの旦那はあなたと同じような仕事しているでしょ（元旦那も） まあ、仕事は仕事で趣味はまた別にあるのかもしれないが。 一緒にライブに来たうちの相方もその意見には大賛成らしく、 隣でひときわ大きな拍手を鳴り響かせていた。 うん、たしかに俺らは趣味どころか性格も全然違うな。 外見は似ているとよく言われるけど（笑） しっかり喋った後は（笑）、カヴァー曲の中から人気曲をチョイス。 城ホールでは“TODAY”だったが、今夜はシールの『Kiss From A Rose』だ。 “愛で死ぬならキスで殺して”というフレーズに衝撃を覚えたのも懐かしい。 最近はCDでもめっきり聴かなくなったので、久々に聴いてなんだか新鮮さを感じた。 あと姐さん、それは“Kiss Me Good-Bye”のカップリングじゃなくて “This Love”のカップリングですぜ（苦笑） 続いては西川先生のギターを加えた『One Melody』である。 曲の前に、曲の内容にちなんでアンジーは西川さんに過去の恋愛を引きずる方か 質問。「最低十年は引きずる」という解答に俺大爆笑でした。 情熱的なバラードの次は、河野さんを加えた『LIFE』。 それに続いてシングルカップリングの中から人気のない曲が演奏される。 城ホールでは“空はいつも泣いている”、しかし今回はなんとあの『Santa Fe』だった！ Santa Feはいまでも気に入ってよく聴いている、ジャズチックな英語の曲である。 ライブで聴くのは初めてのことなのだが、トリオでありながら迫力のある演奏には 圧倒されまくりだった。でも少しカットされていたのが残念。 そして再びファンタスティック5がそろって、もう一つの目玉である『輝く人』が演奏される。 アンジーの日記によると、この輝く人と同時にバック演奏された曲は “Where The Streets Have No Name”という曲らしい。 別々に聴いてみると全然違う曲のはずなのだが、 重ねてみるとかなりマッチングしていたように思う。 紅白でも思い切ってこの形で演奏すればよかったのにね（笑） 続いては、このライブのメインディッシュである寓話組曲だ。 残された者の悲しみ、死んでしまった人の後悔、そして葬式の情景を歌ったあとの 宇宙のサビという構成は、思わず涙が出てしまいそうなほど感動的だった。 迫力ある寓話組曲の次は『Rain』でクールダウン。それに続いて『This Love』。 そういえば、城ホールのときはThis Loveの前に何かしらMCを挟んでいた覚えが あるのだが、俺の記憶違いだろうか？　まあ、まったく必要ないのでなくていいんだけどね。 このライブに限らず、あらゆるライブで足を引っ張りまくりな『たしかに』の次は、 『手紙』の合唱で本編は終了となる。 手紙もこのライブを最後に、もう今後のライブのセトリに加える必要はないだろう。 聴くのはCDだけで十分だし、合唱もこれまで散々やってきたので、 そろそろお役御免といってほしいところだ。 最も悪い曲とは思わないが（むしろ合唱曲の中では一番好き）、 何度も言うようにアンジーの曲の中ではかなり下のほうだと思っているので、 手紙の代わりに違う曲が組み込まれるほうが素直に嬉しい。 一時退場し、再登場のあとはいつもどおりグッズ紹介。 こっちのレビューでは触れないつもりでいたのだが、少し面白いことがあったので触れておく。 まず最初にTシャツの紹介をしていたのだが、袋から出すさえにあとから紹介する つもりだったサクラ色のハンカチを落としてしまう。 すぐに本人が気づいてポケットにしまったのだが、それで焦ってしまったのか アンジーは青いTシャツを思いっきり“赤い”Tシャツと言って紹介してしまう。 そちらの間違いもすぐに気づきました（笑） アンコール一曲目はファンタスティック5による『サクラ色』。 そして締めは弾き語りによる『HOME』で五周年記念最後の企画は幕を閉じた。 ■総評 城ホールのときは気づかなかったのだが、今回のセトリはシングルA面を すべて組み込んであった。 そういう選曲の仕方はいかがなものかと思ったが、そうでないともしかしたら 俺の大好きな『Kiss Me Good-Bye』も演奏されなかったかもしれない。 なのでまあ目を瞑ります（笑）　 それにしても、やはりアンジーはバンドでやってなんぼのアーティストですな〜。 ピアノ弾き語りライブはどれもこれも少しばかり物足りなさを感じてしまうのが、 バンドを加えたライブだとまったくない。むしろ完成度も満足度も大幅に上がる。 「自分はピアノ弾き語りで聴かせるライブにしてほしい！」という人ももちろんいるだろう。 俺も全曲バラードならそれでもいいような気がするが、 アップテンポな曲を彩るとなるとやはり無理があるように感じられる。 それにバラードにしたって、今回は他楽器があっての心に響くパフォーマンス だったように思う（特にThis Love） そういうわけで、今後もアンジー一人で抱え込まずに、 バンドのみんなと自由かつ完成度の高いライブを俺たちに運んでほしい。 もちろん河野さんと山根さんにもご同行をお願いしたいところだ。 愚痴やら何やらが混ざって、結局よかったのかそうでなかったのかわからない方も いらっしゃるだろうということで、わかりやすく五段階評価で今回のライブの感想を 締めくくらせてもらう。 五を飛び越えて十を付けたいほどのライブだった。 ■セットリスト 01.心の戦士 02.Again 03.Kiss Me Good-Bye 04.愛の季節 05.孤独のカケラ 06.MUSIC 07.Kiss From A Rose（Sealのカヴァー） 08.One Melody 09.LIFE 10.Santa Fe 11.輝く人 12.寓話スペシャルバージョン 　〜宇宙　モラルの葬式　レクイエム〜 13.Rain 14.This Love 15.たしかに 16.手紙〜拝啓　十五の君へ〜（合唱） アンコール 17.サクラ色 18.HOME