2010/8/17 アスティとくしま

今回生まれて初めて徳島の地に足を踏み入れることになったのだが、
その遠さには驚かされた。

山口から東京まで新幹線で約四時間、
距離的には徳島のほうがはるかに近いものの、
途中特急電車に乗り換えなければならないために
その移動時間は東京とほぼ同じになってしまう。

岡山の南の辺りから徳島駅の少し手前までの
田園風景は、田舎田舎と言われている俺の地元
よりもはるかに田舎だった。

また、徳島駅からアスティまでの移動手段がバスしかない
というのも驚きだった。
おかげで夕方のラッシュに巻き込まれ、アンジーのライブでは初の
ギリギリ(というほどでもないが)会場入りとなった。

こんな辺境の地に人が集まるのだろうか、と半ば不安にも思っていたが、
会場に入ってみるとほぼ満席の状態だった。


この日のアンジェラの登場は結構普通だった。
しかし観客の歓声は、昨今のライブでは一番凄まじかったように思う。
(しかし山口には及ばない)
熱狂もなかなか収まらぬまま最初に演奏されたイントロは、
俺のまったく知らない曲だった。俺の相方は聴いたことがあるというので
おそらく誰かのカヴァーだろう。しかし残念ながらこのライブが終わるまで
その曲名を知り得ることはなかった。
(キャロル・キングの“Home Again”と知ったのは一昨日のこと)

ここで最初のMCを挟む。
今夜のテーマは“ふるさと”と“原点回帰”の二つであることが発表される。
原点回帰ということは、あの曲やあの曲も歌われるのかな〜と少し期待。

2曲目は、ラジオで初めて流されたという“Rain”である。
Rainのライティングが毎回素晴らしく、今回も雨が降り注ぐかのように
差し込んだブルーのライトが実に印象的だった。
ただ、肝心のアンジーの歌唱が、微妙に音を切りすぎて不満が残る。

3曲目は意外なことに“TODAY”だった。
強烈な赤面(?)ソング“ANSWER”のせいですっかりその存在を
忘れていた。隣にいる相方を少し意識しながら手拍子も入れつつ聴き入る。

TODAYからの流れでは、この曲の位置づけは完璧だった。4曲目は“愛の季節”
武道館2009のときはぼろくそに叩いたものの、“いま”を実感させるこの流れには
少しばかり心を掴まれたものだ。
またCD音源とは違ってピアノのみだと、ドラムの違和感を覚えずに
じっくりと聴くことができる。

さて、ここでいつものコーナーである。
今夜の勝手に英語でしゃべらナイトは、ジョン・デンバーの“Country Roads”。
ジョン・デンバー自体はまったく知らないのだが(笑)
俺の大好きなジブリ映画「耳をすませば」でお馴染みの曲だったので、
なんとも嬉しい選曲だ。
途中まあそこそこ笑えるネタを挟みながらも、
今日はいつもより尺が短くて少し驚いた。
でもいつもと全体の曲数変わらないってどういうことやねん(笑

ここでいい加減セトリからはずしてほしい“たしかに”を
歌っていつもの長い長いMCに入る。

今夜の漫談(笑)は、アンジーが妹のリカちゃん人形を壊してしまうお話。
妹のリカちゃん人形が魅力的に見えて仕方なかったアンジーは、
ある日一人で留守番をしているときにそれをこっそり持ち出して遊んだ。
しかし遊んでいるうちに人形の髪の毛がサボテンに引っかかってしまい、
それを無理やり取ろうとしたら首がもげてしまった。
もうひとつのエピソードは、タクシーの運転手がお遍路めぐりの外国人を
寺ではなくアンジーの家に連れてきてしまうお話。
今夜の漫談はANSWERツアーのときのモノマネ選手権の話の次に面白かったと思う。

まだ少し話したりない様子のアンジーだが、
時間を気にしつつ次の曲の準備に入る。
スタッフが持ってきたのはライトの光を受けて輝くギターだった。
そう、次の曲は“輝く人”だ。
今日会場に訪れた人の中には、今夜のライブの目玉はこの曲だと思って来た
人も少なくないだろう。

不気味な前奏とともに次に歌われたのは、“ファイター”だ。
アルバム「ANSWER」の中でも俺の評価がひときわ低い曲のはずだったが、
今夜のファイターはとても気合が入っていて、なおかつ編曲が絶妙なものに
変えられていたため、思わず“すごい”と心の中で呟いた。

“サクラ色”もいつにも増して気合が入っていた。
観客の拍手もひときわ大きく、ここまで一度も拍手しなかった
俺の相方さえも小さくはあるが、拍手をしていたほどだ。

LIFEにまつわるMCを挟み、ジャニス・イアンの“Will You Dance”が歌われる。
伴奏が一部おかしなところがあったものの、ライブで歌われるのもずいぶんと
久しぶりということで満足のいく選曲だった。

さて、ここからがいよいよメインディッシュである。

終盤に差し掛かろうというときに出てきたのは、
意外にも“Somebody Stop Me”だった。
禁断の恋を匂わせる歌詞で俺たちゲイにも人気を誇る曲である。
そしてそのままメドレー方式のように歌われる“One Melody”
大幅にカットされたのは残念だったものの、この二曲が同じ人に
対して作られた曲だということを流れから認識できた。
ここで愛のうたなんかが混じっていたら最高だったが、
あっけなく“Somebody Stop Me”に戻ってしまう。

続いて歌われたのは名曲中の名曲“This Love”だ。
ご存知のとおり(?)管理人が選ぶアンジーの曲ベスト10のうち
三本の指に入る曲であるが、今回のライブにおいては微妙な選曲だったと思う。
というのも、たしかにアンジーが知られるきっかけとなった曲の一つ
ではあるが、その土台を築いたのは“Kiss Me Good-Bye”だ。
だから原点回帰というテーマの上ではそちらを選曲するべきではなかっただろうか?
肝心のアンジーの声の張りも微妙だったしね。

そしていよいよ新曲の発表だ。
今回の新曲はジャニス・イアンとの合作“Every Woman's Song”だ。
タイトルから女性賛歌だと受け取りがちだが、中身は実際人間賛歌で、
俺たちは性格も歩んできた道も違うけど、必ずどこかでつながっている
仲間だ、というメッセージが感じられる。
メロディーも昨今のアンジーの曲の中ではかなり良いのではないだろうか?

いつもどおりここからはアップテンポな曲が続く。
まずはANSWER、そしてMUSIC。

ここでアンジーは一時退場し、数分の後、彼女ではなく
阿波踊りの集団が会場に乱入してきた。
夏になると阿波踊りが云々というニュースをよく目にするものの、
実際に見るのは初めてのことである。
この集団の中にアンジーが隠れてるのかな〜と思いながら目を
凝らしていたが、そんなことはありませんでした(笑
本人普通に登場(笑

アンコール一曲目にきたのは“手紙”の合唱だった。
今回この曲をメインに持ってこなかったのは良点である。
それにここでよく知らない懐メロが出てくるよりは
よく知ってる手紙のほうが一緒に歌えていいよね。
余談だが、俺の隣の席の老夫婦が二人して歌が上手くて
しゃべらナイトのときやたしかにのときも彼らに引っ張ってもらいました。

さて、アンジーのふるさと・徳島でのライブもいよいよ最後の曲を迎える。
その前に、アンジーの幼少期の話。
アンジーのお父さんは仕事で岡山に単身赴任していたが、日曜日には毎週毎週
自分たちの為にわざわざ帰ってきてくれたという。
その当時はお父さんに対して何も言えなかったが、
いまだから素直に言える“ありがとう”の言葉をステージから投げかける。
思わず涙が出そうになったが、ぎりぎりのところで堪えて
今日最後の曲“HOME”に聴き入った。


☆よかった点

・選曲
 今回は定番曲のみならず、カップリングやアルバムオリジナル曲からも
 選曲してあって、マニアさんでも楽しめるセットリストだったと思う。

・新曲
 武道館2009の“輝く人”が俺の中で微妙だっただけに、今回の
“Every Woman's Song”の歌詞・メロディーの良さはその物足りなさを
 埋めるのに十分だった。


☆残念だった点

・2番カット
 2番のない曲に何の意味があるのだろうか?

■セットリスト

01.Home Again(カヴァー)
02.Rain
03.TODAY
04.愛の季節
05.いつものコーナー=Country Roads
06.たしかに
07.輝く人
08.ファイター
09.サクラ色
10.Will You Dance
11.Somebody Stop Me
One Melody (メドレー)
12.This Love
13.Every Woman's Song(新曲)
14.ANSWER
15.MUSIC

アンコール
16.手紙〜拝啓 十五の君へ〜(合唱)
17.HOME